灯浮標2(2022.2.18)或る依存症の夏から。
その夏。2015年7月には既に債務超過に陥っていたものの、さして危機感を持っていなかった。
それこそが肝要だったわけで。
来る日も来る日もパチンコ。それで穴が埋められるわけは無く、その行動が難病の影響にもあるとは・・・。医者へ行くことをSに勧めたのだが聞く耳は持たなかった。
Sの家の薄暗い部屋の中で、一日中待たされるだけの飼い犬が可愛そうで。
ネットや書籍で調べてみるに、やはりパーキンソン病とギャンブル依存症の関係性は複数で明記されている。Sの場合も例外ではない。
振り返ってみるに、その兆候はその数年前には出ていた。
時系列に沿えば、彼がパーキンソン病と明確に医者から告げられたのが2005年1月。だがその数年前には、体の異変を意識していたようだ。黒板の文字が書きづらい。小さくミミズのようになる。腕の痛み、口元の振顫。そのうち、車の運転時の恐怖感。すくみ足など。それは次第に強さ、頻度を増していく。
忙しい仕事の合間を縫って、医者を転々とする。
その頃からだろうか、定年を数年後に控えて、既にギャンブルにはまりつつあった。地方競馬、中央競馬通い。年に数回、ソウル、プサン、シンガポール、マカオとカジノへも通う。そしてお金は湯水のように流れ去って行った。私は、そのSに乞われて何度か同行(プサン、シンガポール)した。止めるように促すのだが全く聞かない。そして、それを決定的にしたのが、ネットで知り合った人物とのトラブルである。
(以下次回)
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