HIRO訳 漢詩31.李商隠「<無題二首>其の二」(重帷深下莫愁堂)
久しぶりのHIRO訳 漢詩です。
今回は李商隠(813?~858?晩唐、詩人)の、「重帷深下莫愁堂」から始まる七言律詩「<无題二首>其二」を訳して、投稿ました。
この中には金木犀も詠まれており、季節も丁度良いかと思ったわけです。尚、この漢詩の第二句「卧后清宵细细长」が、近代中国の文学者、俞平伯(1900~1990)の散文「浆声灯影的秦淮河」(櫂の音に灯影の揺れる秦淮河)に引用されています。
(原詩)
李商隠「<无題二首>其二」
重帷深下莫愁堂,卧后清宵细细长。
神女生涯原是梦,小姑居处本无郎。
风波不信菱枝弱,月露谁教桂叶香?
直道相思了无益,未妨惆怅是请狂。
(HIRO訳)
李商隠「<無題二首>其の二」
幾重のとばり深く館に莫愁(*)の面影あり、
横たわれば宵はしずやかにしてひたすら長い。
仙女は私の生涯も夢にしかあらずと語り、
あの娘の住まいにあなたはとうにいないとも。
風に波立つ池の菱は揺れ惑い、
月の雫は木犀の葉末に香りを伝える。
一途に思い続けても無益だが、
うち萎れた私を覆うのは愚かな反骨かも。
(2023.8.19)
*莫愁(ばくしゅう):古代中国の美女。
写真を二枚添えます。
「菱」は、広島市植物公園で2023年8月19日に撮影。
「金木犀」は、我が家の玄関先で2023年10月14日に撮影。
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