HIRO訳漢詩:朱自清「漆黒」(原題:黒暗)を読む。
2016年の初めに、朱自清の詩から一篇、 私の拙訳でご紹介します。
<朱自清>
「漆黒」(原題:黒暗)
漆黒の夜、
私は独りぼっちで広場の隅に座り込んでいる。
遠くの家から漏れた灯りは、
稲妻の花紋となって、黒い絨毯に散る―。
それは自らが発光する。
彼らの意志に関わらず、
微弱な力で揺れ動き。
ごらん、きらめきを輝きを、
これこそは闇の眼差しじゃないか!
震える闇夜に、
憧憬の人影がぶらついて。
周囲の柏樹は黙しながらも咆哮する。・・・・
おお、―世界の底の声よ。街の声、人の声よ。
遠くから近くから吹き寄せて、
怒涛のように沸き上がり、溶け合いながら。・・・・
闇夜の底で心が波立っているじゃないか!
広場は拡大して、
もうこれ以上の広がりようは無く。
闇夜の底は翼を広げて、
誰も彼らの実態を掴むことは出来ないのだろう?
彼らは慈愛、そしてまた暖かく、
そこにある全ての意志は彼らに覆われて。
自己たる所以のその全てを忘れさせられたのだ。
その一切が漆黒、
「我らと共にある!」
(一九二一年十一月七日、杭州。)
(翻訳:HIRO)
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