朱自清「春」から。
今朝も雪。
それでも、自然は、ひそかに春への準備、怠りないようです。
久し振りに、翻訳、試一試です。
今回は、朱自清の随筆「春」から、ほんの一部分を訳してみました。
《春》(部分) 朱自请
雨是最寻常的,一下就是三两天。可别恼。看,像牛毛,像花针,像细丝 ,密密地斜织着,人家屋顶上全笼着一层薄烟。树叶儿 却绿得发亮,小草儿也青得逼你的眼。傍晚时候,上灯了,一点点黄晕的光,烘托出一片安静而和平的夜。在乡下,小路上,石桥边,有撑起伞慢慢走着的人,地里还有工作的农民,披着蓑戴着笠。他们的房屋,稀稀疏疏的,在雨里静默着。
(拙訳)
「春」(部分) 朱自清
雨が数日降り続いたからといって、この時期ならば、どれほどのことがあろう。悩ましくはない。
ご覧なさい。雨はまるで牛の毛のように艶やかで、花のめしべのようにたおやかで、そしてまた、その細密さは絹の糸。雨は、精緻に織り上げられて、家々の屋根を隈なく包み込み、一層仄暗く煙っている。それでも、木々の緑は鮮やかに輝いているし、あなたが目を落とせば、下草も青く染め上げられている。
やがて日は暮れ、灯が点り、点々と淡い光が夕闇に滲む。しめやかで平和な夜が訪れる。里の小路の石橋の畔に、とぼとぼ傘を差して行く人があり、 野良には、夜のとばりに追われながら、蓑を纏い笠を被り仕事に精を出す農民がいる。彼らの家々は、春の雨に、あまねく黙している。
*朱自清(1898~1948):近代中国を代表する詩人、エッセイスト。
魯迅(1881~1936)が一回り以上年長とはいえ、二人とも、清朝(1636~1912)末期に生まれ、中華人民共和国建国(1949)直前に世を去っており、激動の中華民国を生きたという意味では、「ほぼ同時期の人と無茶な括りも出来なくはないなあ」などと、私的には考えるのであります。中国では、彼の作品は教科書に載るくらいポピュラーな存在ですが、残念ながら、日本ではほとんど知られていないようです。私も留学生に教えてもらって初めて知ったのですが、とにかく、素晴らしい!何が?って、この余韻ほとばしる美しい文章は、感動ものです。それだけに私の力では、なかなか・・・で、ちょびっとだけ、試みてみました。因みに、他にも、私が初めて読んだ「背影」(随筆)を始め、「荷塘月色」(随筆)、「黒暗」(詩)など、多くの作品があります。
添付の画像は、今朝の庭。雪に馬酔木の蕾です。
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